不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 まさに願いこそがまゆこの魔法陣となった。

 彼女たちは、太陽が西へ傾いてゆく中、雪の上を歩く。

「方向が分かりません。いったい門はどこにあるのでしょう。ジリアン様は、どこにいらっしゃるのでしょうか。雪が降っているから足跡も残っていませんし」

 エルマが疑問を口に載せる。

「ゲオルグは、ジリアンの元へ飛ばしてくれたはずよ。多少ずれただけだと思うわ」

 魔法領域が歪んでいるなら、ずれることもあるだろう。近いのは確かだ。

 ジリアンがいる方向は、まゆこにはなんとなく分かる。

 まゆこが左手を浮かせると、一つの方向へ強く引っ張られた。指輪が教える。

「こちらよ。……近いわ」

 動物たちも手を貸してくれた。まゆこの呼びかけに巨大な熊が出てきたときは襲われるかと恐怖したが、熊は魔物に向かって行った。

「冬眠している最中なのに……ごめんね」

 涙で前方が曇る。

 元々は魔物に起こされたに違いない。体中傷だらけの熊だった。

 障壁にこれ以上穴が空くと、彼らの住処も無くなるのが動物たちにも分かっているのかもしれない。

 みんなで戦う。障壁は必要だ。
< 321 / 360 >

この作品をシェア

pagetop