不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「《雪の下に眠る木々たちに願う。ジリアンが門に鍵を掛けられるように、彼を囲って、守って》」

 ざざざ……と雪をかき分けて樹木が立ってくる。

「ルース! やめさせろ。それではマユコの生命力がもたないっ」

 彼女の中のエネルギーだけが源泉となる魔法。中にあるエネルギーとはすなわち、生命力だったというわけだ。

 異世界から来たまゆこだけが発動できる特殊な魔法は、障壁の影響を受けなかった。

 生命力……どうりで、しんどい。心臓が止まりそう……。

 はぁはぁと息遣いを速くした彼女を、エルマが覆いかぶさるようにして守る。
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