不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 まゆこの方が先に目覚めて、食事を取り風呂に入って着替えをしたが、その間も、ジリアンは眠ったままだ。

 戻ってから一昼夜過ぎてもなお眠っている。

 夜の帳が落ちてきているのを横目に、まゆこはジリアンの眠るベッド横に張り付いていた。

 ジリアンの額についていた魔物に切られた傷はゲオルグが治した。

 端麗な顔には、王になるための戦闘の疲弊も雪山での試練の痕も、なにも残っていない。寝息は健やかで、眠る様子は穏やかだ。

 ベッド横の椅子に座ったまゆこは、じっと彼の寝顔を見つめる。

 ジリアンが目覚めたらなにを言えばいいのだろうか。

 ……助けてくれてありがとう、かしら。そうよね。助けてくれたものね。

 それから?

 一番聞きたいのは、『あなたの〈ただ一人〉は見つかったの?』だろうか。

 見つけているというのは魔法力で分かるから、ずいぶん間の抜けた質問になってしまう。
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