不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 まゆこは胸に杭が刺さったような思いを味わった。

 おまえにはできない。おまえは手助け程度の役にさえ立たない――と、言われた。

 室長補佐の声が脳裏で巡る。

『もういいわ。帰りなさい』

 自分に対しての情けなさや悲しみが大きく膨れ上がる。不安で心がいっぱいになると同時に、この状態を招いたジリアンへの怒りが爆ぜた。

 彼女は丸い小テーブルの端にばんっと両手を突いて立ち上がる。

「勝手だわ! 了解も取らずに引っ張っておいて、なにを言っているのよ! 役立たずかもしれないけど、呼び込んだのはジリアンじゃない!」

 ――だめ、泣きそう。

 目元が潤んでしまう。

 ジリアンも驚いたようにして立ち上がる。勢いが激しすぎたのか、彼が座っていた椅子が後ろへ倒れて派手な音を響かせた。

 その音にびくりと身体を慄かせたまゆこは、身を翻してその場から離れようとした。

 どこへ行くのか、どこへ行けばいいのか、頭の中にはない。


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