不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ジリアンは一瞬口ごもったが、話を続ける。

「私の自信のなさは、自分の魔法力を完全開放できないところからくる。魔法闘技に出ても、発揮できるのは内包する力の三割ほどでしかない」

「……どうして?」

「バーンベルグ家の男子は呪われているからだ。ある条件を満たさない限り、どれほど大きな魔法力を内部に持っていても外に出せない。バーンベルグ公爵である私も、その呪いに縛られている」

 まゆこは、はっとしてジリアンを真正面から見る。

「召喚の条件は、その呪いを解く者なのね」

「……違う。呪いを成就する者だ」

 意外だった。じっと彼を見つめる。なにかある気がする。もっとなにか。

 表情などなにも浮かばせずに、ジリアンは窓の外へ視線を移して抑揚もなく言う。

「魔法闘技に勝利するために、召喚魔法を発動させた。いわゆる手助けをしてくれる者を呼んだつもりだったが、マユコではなかったようだ。帰りたいのだろう? おまえにはできないことを求めてしまった」

 いっそ冷たい声音で言い放たれる。

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