不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「三つ目の頼みだが」

 自分の物思いに捕らわれそうだった彼女は、ジリアンの声で顔を上げる

「バーンベルグの男子に呪いが掛かっているというのも極秘だ。知っているのは、やはり先ほどの三人だな。ヴォーデモンとフォンダンの中核は、バーンベルグとの付き合いが長いから気が付いているかもしれないが、言及されたことはない」

「……分かった」

 彼女は小さく息を吐いて笑顔を作る。

「三つのお願い。了解しました、公爵様」

 少々おどけて言えば、ジリアンは微細な笑みを浮かべる。見惚れるほどの間もなく、彼はすぐに顔から表情を消して椅子から立ち上がった。

「そろそろ寝室の方に食事の用意がされているころだ。遅くなってしまったが移動しよう。こちらだ」

 手が伸ばされた。どきんと鼓動が打った。

 子供のようで気恥ずかしいが、足元がまだ危ういので、彼女も手を伸ばして掴まって立つ。ジリアンがすぐに歩き出したので、手を繋いで一緒に行く。
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