誰からも愛されない

✛✛一緒に


「・・ええっと、忍さん?」
「うん・・彩心ちゃんは・・・
誰にでも優しくて
誰からも愛される人だよ。
皐さんと言う方も紫月さんと言う方も
彩心ちゃんが大好きみたいだし。
僕も彩心ちゃんが大好きだよ。
ただ・・・」
「ただ?」
「幼馴染みで元旦那さんは新。と
呼びすてなんだね。」
と、いじけたように言う。

忍さんに、驚きと子供じみた忍さんの
言い分が可笑しくて
「もぅ。忍さんは。」
と、言うと
「ごめんね、ただの嫉妬。
真面目な話しをしているのに。」
「いいえ、堅苦しく取られるより
話しやすかったです。」
と、いいながら
笑いを我慢している彩心に。
「いいよ、大人げないと
思ってるんだろ。
我慢してないで、
笑ってくれたほうがよいよ。」
と、言うから
笑ってしまった。

ほんとに笑うなんて
と、思っていたが
彩心の笑顔が嬉しくて
忍も笑ってしまった。

彩心は、
自分がこんなに声をだして
笑ったのが久しぶりで
とても嬉しくて
涙も溢れてきた。

そんな彩心を
忍は抱き締めて
「愛してる、いつまでも
僕のそばで笑っていて。」
と、囁いた。

彩心は、忍の優しさと
包容力、たまに見せる幼いところにも
癒されていた。

私も忍さんと歩いてみたい
と、体が心が訴えていた。
彩心は、忍の背中に手を回し
「私もっ‥‥私も・・忍さんと
歩いてみたい。」
と、言うと
「えっ、ほんとに?」
「‥‥‥は‥‥いっ‥‥」
「うそっ、本当?
うれしい!!
やったー!ヤッホー!!」
と、言うと
彩心を抱き上げて
くるくる回した
「きゃっ」
と、彩心が言うが
忍は、笑いながら
彩心のおでこにチュッとすると
彩心は、おでこを押さえて
真っ赤になっていた。
< 42 / 107 >

この作品をシェア

pagetop