誰からも愛されない

✛✛もっと一緒に


忍は、彩心をマンションまで送り
「彩心。後で連絡するから」
と、言って抱き締めた。
彩心も
「待ってます。」
と、言って忍に身を預けていた。

「彩心。本当は帰したくないし
離れたくないんだ。
でも、今日は我慢して帰るよ。
さあ、中に入って。」
と、言った。

彩心も本当は、寂しいけど
付き合い始めた初日にわがまま言っては
いけないと我慢した。

彩心がマンションの中に入り
見えなくなっても忍は車を動かさなかった。
そして、少しして
彩心に電話をした。
「彩心。部屋の中に入った?」
「はい。入りました。
   忍さん、ありがとう。」
「彩心。好きだよ。
   ゆっくりお休み」
「お休みなさい。
   気をつけて帰ってね。」
「うん、ありがとう。」
お互いに電話を切るのが
惜しくて、だらだらと話していたが
そんな自分達が可笑しくてなって
笑いながら電話を切った。

彩心は・・・
新の時にはこんな気持ちは
なかった、と不思議だった。

一緒に居たいのに、
居れない焦れったさとか·····
まだ一緒に居たかったとか····

忍さんといると自分ではないように
甘えたで寂しがりやになってしまう

忍さんの包容力のせいなのか
何でも素直に口にだしてくれるせいなのか

今も・・もう忍さんに会いたいと
心がざわざわしている。

そんな自分を叱咤してお風呂に入り
明日の準備をして、
早めにベッドに入った。

忍も、マンションに帰りつき
ついさっきまで彩心がいて
彩心を抱き締めたり
キスしたりしていたのに。

今はもういない·······

やはり、帰さなければ
良かったと、どれだけ悔やんだか
わからずに朝を迎えた。
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