誰からも愛されない
⑩ それから3️⃣

✛✛暴走する姪


すると······


彩心が一番そばにいてほしい人の
温かな温もりと匂いに包まれた。

「彩心。」
その言葉に、彩心の瞳から涙が流れた。

「ごめんね。一人にして。」
と、言って後ろから抱き締める忍さん。
彩心は、首を横にふりながら
「‥‥お帰りっ···なさい‥忍っさん‥‥。」
と、言った。

「「忍!!」」
「兄貴!!」
「おじさん!!」
「忍おじ様!!!」
忍さんが戻られたんだ・・・

周りから声がして
彩心は、忍に凪さんと同じ事を言われたら
と、辛い気持ちになる

忍は、彩心をゆっくり反転させ
彩心の顎を持ちあげて
彩心の瞳を見る。

悲しそうに揺れる彩心の瞳に
忍は、彩心を抱きしめ
自分の腕の中に入れ
「それで?どう言うことなの?」
と、威圧のある声で
回りを見回しながら告げ
凪と清香、二人に目を止めた。

凪は、どぎまぎしながら
先程と同じ事を言った。

彩心の体がビクッとなるのを
忍は感じ彩心を抱き締める腕に力を入れた。

「凪。それ本気で、言ってるの?」
「‥‥えっ、ああ。だって清香が‥」
「僕は、本気で言っているのか?と
訊いているけど。」
「‥‥‥うん、多分。」
「凪。お前を本日付けでAkiyamaの
顧問弁護士を解任する。
わかったな。」
「えっ、なぜ?
なんで、この人なんだよ。
弟の俺じゃなくて!!!!」
と、凪は怒りで怒鳴る
「忍おじ様!!」と、清香。

「お前が女性に対して
どんな偏見があるのか知らないけど。
先ずは、良く人物を見極めろ
そして何が正しいのか判断しろ。
それに、言っとくが
才賀 彩心は、
そんな事が出来る人ではない。」
「なぜ、兄貴にわかるんだよ。
アメリカに行っていたくせに。
聞いても何も答えないのが
証拠だと思わないのか?」
「思わない。
凪。彩心がなぜ何も言わないのか
わからないのか?」
「自分が不利だからだろ。」
と、言う凪。
ゴン!!と頭を叩かれ
「いてっ!」
「まったく、凪おじさんは
どこまでひねくれてるの?
彩心さんは、忍さんやおじさんに
嫌な思いをさせたくないし
お祖父様やお婆様にも
悲しい思いをさせたくないから
黙ってるんだよ。」と、楓。

「俺や兄貴?親父やお袋も?」と、凪。
「まったく、母さんや父さんが
甘やかしてばかりいるから
清香は、高飛車になるんだよ。
我が妹ながら、情けない。
謝りなさい、清香!!彩心さんに。」
と、楓が言うと
「なぜ?清香が?」と、凪。
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