朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「教頭先生? 知って……るんですか?」
知ってるも何も同僚なのだろうが。
その顔色をなくした声に、海彦教頭の強張ったものを感じる。
「……桜庭の………」
続いた言葉は、周りが勝手に俺たちを呼んでいる呼称だった。
『悪夢の三人』
「神宮――先生。本当に、あなたなんですか? ……」
問われて、いつもの態度で答える。
ただ、学校での『いつも』ではないから、違和感を覚えるんだろう。
「周りがどう呼んでいたかは知りませんが、そこの二人と同期だったのは本当です。出身も桜庭です」
「本当――なんですか……」
「……わかっていただけました?」