朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「やっぱりね。僕の知ってる人にもそういう考えの人がいてね。実際双児を年子で産んだんだよ。二年間で四人の子どもの親になった。笑満ちゃんだったら有言実行しそうだよね」


「す、すごいですね! お友達さん大すきなんですね」


「そりゃあもう。旦那や彼氏が妬くほど仲いいよ。僕もよく子どもたちと遊びに行ってるから、赤ちゃんの相手上手くなったよ。笑満ちゃんでも咲桜ちゃんでも、子ども産まれたら頼っていいよって言えるくらいには」
 

毒舌しか吐かない吹雪さんらしくない言葉だった。


でも、心からその言葉をかけてくれているのがわかる。
 

私にとって吹雪さんは、不思議な存在だった。


ふわふわしているようで一番頑固。


のらりくらりなのに筋は一本。


軽くはないバックボーンがあるから、春芽吹雪はこういう生き方の人間になったのだろうか。


では、自分はどんな人間になるのだろう――どんな人間に、なりたい? 


この命を、どう生きたい?

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