朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「詳しい話は、また今度な。落ち着いて話せるときに。

ただ、言えるのは、美流子を連れ去ったのはただ一人で、正しくそいつは殺人犯ではない。犯人の友人、という表現は出来るけど。

美流子を連れ去ったのは、神宮の家で生き残っていたのは、美流子だけだと思ったかららしい。

犯人たちに殺される前に、美流子を逃がして一緒に逃げた。――そしてそいつはもう死んだ」


「……………そう、なんだ……」


「うん。……ごめんな? こんな日に、こんな話……」


「ううん。……その、私こそ、ごめんなさい。今の話を聞いて、なんだろう……あんまり、思うことがない、んだ……。

私にとって『美流子さん』は流夜くんのお姉さんって認識だけど、そこまでで、桃子母さんには通じない。

その、連れ去ったって人も……全然、心は動かない。……薄情なのかな? だから、ごめん」


「そうじゃないだろ」
 

私の頬に指をかけて、軽く上向かせた。

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