愛のない、上級医との結婚


「高野先生ってさ、もしかして結婚願望とか強いのかな」


「え、何よ。どうしたのいきなり」


驚いたように聞かれて、どこまで話すべきか悩みーーさえは誰かにペラペラ言う人じゃないし、それにもし結婚するならいつかはバレるのだと思い至って言うことにした。


「実は、お互い同意のもと結婚することになったんだけど」


「え、えぇ!?付き合ってたのあんたたち!」


「あ、お見合いなんだけどね。しかも昨日顔合わせしたばっかりなんだけど。
それで、聞き間違いかもしれないんだけど来週婚姻届出すとか言ってるみたいで」


何か急ぐ理由があるのかな、と聞くと、しばし茫然としていた小枝子は少しだけ考え込む素振りを見せた。


「え、うーん、どうだろう。来年留学の話が出てるから、今年中に早めに結婚決めちゃいたいっていうのはあると思うよ。留学から帰って来てから結婚考えるってなるといつになるか分からないだろうし」


「留学……」


確かにそれは、早めに結婚して奥さんと海外に行って私生活のお世話をしてもらいたいとかあるだろうな。留学ってなると、給料も出ないからできたら奥さんに稼いでもらいたいとかもあるかもだし、奥さんが稼がなくてもその実家がうちみたいに資産家だと支援もしてもらいやすいだろう。


ふむふむ、と納得していると、小枝子は尚も考察を続ける。


「あとは、……考えられるとしたら、高野先生最近めちゃくちゃモテてるんだよね。看護師さんもだけど、事務さんとか秘書さんとか……ああ、MRさんにも高野先生推しのひといたかな」


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