愛のない、上級医との結婚

彼が何故このお見合いを受けたのかは想像に難く無かった。


卒後5年目、循環器内科医として3年目。
今年29歳になる彼も、そろそろ周りから身を固め無いのかという圧がある頃だろう。


一般企業ほど結婚してないとマトモと思えないという圧があるわけでは無いが、医師だって結婚していないと何となくうがった見方をされることもある。


それに勤務している病院の理事長、しかも元心臓外科教授からの頼みとあっては断れないだろう。循環器内科と心臓外科は扱っている臓器が同じなだけになにかと関わりが深いのだ、恩を売っておけば全く悪いことは無い。


まあ、それでも高野先生に付き合ってる人が居なかったというのは少し衝撃ではあったけれど。


かくして私たちは顔合わせすることになる。


どこかの料亭で親も同伴で、と思っていたのに、私たちはお互いの忙しさから急遽病院内のカンファ室で会うことになった。


いやいや、こんなお見合い、アリなんですか?


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