**零れる涙**
ーーーー静かな廊下。
階段から下を覗いたら、父さんは居なかった。

居なくて良かった。
今、会うのは少しきつい。
俺は彼女の待つ部屋に戻った。ーーーー


「きゃっ、進くんっ」

進くんのいない間に、着替えを済ませようとしたけど、失敗した。

下着姿を絶対、見られてしまったかも。

「ごめんな、着替え中だった? あー、朝飯作ってくるよ、着替えたら下来てな」

絶対に、見られた。

進くんの顔真っ赤だ。

恥ずかしいのは、私も一緒。

パタン。
ドアが閉まる。
返事も待たずに行っちゃうぐらい、彼は動揺してた。


私の心も、バクバクだ。

昨日とは違うドキドキが、私を襲った。

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