**零れる涙**
「おばあちゃん、私のお父ちゃんのお墓ってどこ?」


その言葉に目を見開くおばあちゃん。

「聞きに来たって、なんかあったんだね…」



おばあちゃんは、素直に受け入れた。

やっぱりなんかあるんだ。
私は、深呼吸。

「おばあちゃん、お父さんは生きてるの?」


知りたいけど、知りたくない。

知りたくないけど、知りたい。

カタン。

小さな箱を手にしたおばあちゃんは、その箱を差し出した。

これはーーー。


「開けてごらん、知りたいことが分かるから」


怖い。

この箱を開けたら何かが分かる。

パンドラの箱を開けたら、知りたいことが分かる。

私は、箱を触る。
重なる様に、手を置いた進くん。

私は、進くんを見て微笑んだ。

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