あなたと私と嘘と愛
私を引き寄せたままの坂井さんがこれ見よがしに頭を撫でてくる。
そして顔を近づけこめかみにまでキスを…
その姿はきっと誰が見たってバカップル。
流石にこんな人前で!?と焦り彼から離れようとしたのだけど、力が強くびくともしなかった。
「ばっかばかしい……」
そしてついに真由が呆れた発言を吐く。
「正直まじで萎えるんですけど、見てるだけで胸焼けがする。坂井さん、あなたがこんな大人げない人だとは思いませんでした」
「……大人げない?僕が?」
「はっきり言って面倒くさい。気持ち悪いです」
真由の発言に一瞬嫌な沈黙が…
ついに出た。真由の毒舌ぶり。
これは相当キレてるなと思いつつ、動きが止まり無言になった坂井さんの方も気になってしょうがない。
でもすぐにトーンの落ちた真面目な声が飛ぶ。
「……君は、ずいぶん物事をハッキリ言うんだね。しかも年上に向かって失礼な口ぶり。ここまで言われたら僕も言わせてもらうけど君の方こそもっと可愛げな態度を心がけた方がいい。
そんなんじゃいつまでたっても恋人なんてできやしないよ」
「っ…!」
「それに僕は誰よりも亜香里を愛してるんだ。この世で一番の宝物だと思える人を大事にして何が悪いのかな?」
一番の宝物…
恥ずかしげもなく堂々と言ってのけた坂井さんに一気に顔の熱が高まる。
けどその言葉の意味は重い。それがどんなに重いものなのか、この時の私にはまだ分かるよしもなく、顔を赤らめる。