あなたと私と嘘と愛
彼の目が私をまじまじと見る。
なるべく感情的にならず、でもしっかりと伝えなきゃ。自分の気持ちを言わなきゃ終わるものも終われない。
彼の反応は正直怖いけど彼の目を真っ直ぐ見返した。
「坂井さん覚えてます?私に言ったこと」
「亜香里に言ったこと?」
「クリスマスの時言いましたよね?恋人なら好きなら俺の言うことを聞けとか。あと、人の電話を勝手に出て切る行為も正直違うと思いました」
「…違う?かな。確かに言ったけど俺の言動が間違ってるって言いたいの?」
腑に落ちない顔だ。
「もちろんです。普通そこまでしないと思いますよ。それに電話には必ず出ろとか、出ないとあからさまに非難されたり、しつこく何度もかけ直してきたり」
「それは亜香里のことが心配だからでしょ。恋人なら当たり前の行動だと思うけど」
「当たり前じゃ…ないです。もちろん心配してくれるのはありがたいと思います。でも坂井さんの行動はちょっと過剰でやり過ぎだと思います」
「…過剰?僕が?」
他にも思い付いたことは全部告げた。
今日の朝のことだって。ずっと待ってるなんて尋常じゃない。
坂井さんの目を見て全て話し終えると一瞬不気味な沈黙ができた。
目の前の表情が分かりやすく曇っていく。