あなたと私と嘘と愛
「好きなら何をしてもいいんですか?」
「僕は…」
「正直キツイです。そこには私への信用がない気がして。本当に好きなら相手の気持ちや意思も尊重すべきだと思います。今の坂井さんは自分の欲のために暴走し私を縛り付けてるだけにしか見えません」
最後声が震えそうになり膝の上にある両手を強く握りしめた。
大丈夫、ちゃんと言えた。
しっかり声は出てたと思う。
鋭い視線に耐えきれず下を向く。
今思い返せば私の自由はなくなっていた。
私の毎日はほぼ坂井さんになり、彼との連絡のやり取りが1日の大半になっていた。
それに合わせてきた私も当然悪い。けどその間違いに気づいた今ちゃんと自分で終わらせる。
「僕の愛が分からないの?全部亜香里の為だよ。僕の行動は全て君の…」
「それが嫌なんです。私の為私の為って愛を一方的に押し付けられて。正直重いです」
「…重いって、俺はただ君が心配で…」
「とにかく息苦しいんです。ここまで言っても分かって貰えないなら…無理ですね」
もう一度顔を上げしっかりと彼を見た。
「これ以上坂井さんの望むことはできないと思います。貴方の理想とする彼女にはなれません」