あなたと私と嘘と愛

…告げるなら今？



「あ……」
「あのさ」


だけど先に声を出したのは優斗の方だった。
突然私の方に顔を向け、意味深い表情を向けてくる。


「悪かった」

「へ？」

「この前は…悪かった。俺も少し言いすぎた」


急な展開に間の抜けた声が出る。
思わず優斗を２度見した。
今のは幻聴？じゃないよね。
確かに聞こえた。悪かったって…


「別に君が憎くて言った訳じゃないから」

「それってカニの時のことを言ってるんですか？」

「…まぁ……」


驚いた。
彼からそんな言葉が出てくるなんて予想外。
ビックリし、大袈裟なぐらい瞬きを繰り返すと彼が若干気まずそうに視線を反らす。


「あの時は思ったことを口走ったけど、嫌味を向けたつもりはないよ」

「…そう、なんだ……」


うつむき加減になったとき、優斗の少し長めの前髪が目元にかかった。
それがちょっと照れてるように見え、思わず目を奪われる。

どうしよう…
急にむず痒くなってきた。


「…いや、でも、私の方も大人げなかったので…」


急にしおらしい態度をとられると、こっちの姿勢も低くなる。
今までの怒りが沈静し、素直な心が見えてくる。