初恋の君に真紅の薔薇の花束を・・・
 翌日、正式に陛下への目通りを申し出て王宮に出向いたルドルフは、アレクサンドラがとても内気で男性は自分と従兄のアレクシスしか傍に近づけないほどなので、なんとかしばらく間、本人が殿下と二人で出かけても大丈夫だと思えるようになるまで、お供としてアレクシスを同行させて欲しいと頼み込んだ。
 そのルドルフからの願いに、リカルドは即答せずにロベルト王子と話し合うとだけの返答だったが、その晩、改めて使者が陛下からの書簡を携えてやってきた。
 毎晩のように食後のひと時を緊張で襲われ、家族全員胃の調子がおかしくなりそうだったが、陛下からの書簡にはアレクシスがアレクサンドラの供として付き添う事を許可する旨がしたためられていた。但し、その代りに、アレクシスはジャスティーヌに供をすることを禁ずるとも書いてあり、再びアレクサンドラがブチ切れ発言をしたが、三人が三様に色々なことに考えを巡らせていたので、誰もアレクサンドラの暴言に注意を払うものは居なかった。
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