月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
ジャラールさんが、泣き崩れるネシャートさんを、抱えながら立ち上がらせる。

「よかったね。ジャラールさん、ネシャートさん。」

すると二人は、顔を近づけながら、私に笑顔を見せてくれた。

「ありがとう、クレハ。」

その二人の様子に、私は見覚えがあった。


「そう言えば、クレハ。そなたが言っていた私達の事が書いてあったという本も、このような結末だったのかな。」

「うん!あの本でも……」

そこで私は思い出した。

この二人の幸せそうな顔。

あの本の最後に書いてあった、イラストで見た事があったんだ。


私はあのイラストを見て、“なんだ。ハッピーエンドじゃん”って思ったけれど。

辛い事を二人で乗り越えてきたこそ、描かれた二人の様子だったんだね。


「あっ!スーツ!ラナーの部屋に置きっぱなし!」

突然思い出した自分の服の在りか。

その時、ラナーはクスッと笑った。

「戻りましょうか。私の部屋に。」

「あっ、お願いします。」

急に下手に出た私を、みんなが笑った。
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