月夜の砂漠に紅葉ひとひら~出会ったのは砂漠の国の王子様~
まだ二人と出会って間もないけれど、二人の間には、とてつもない信頼関係があるのだとわかった。

そんな時、近くでラクダの音がした。

「ジャラール様。ただ今戻りました。」

「ああ。ご苦労だった。」

ハーキムさんは早速、集めてきた木を、ジャラールさんが小枝で点けた火の近くに置いた。

少しずつ木にも火が燃え移り、暖かさは尚一層増した。


「さあ、食事にするか。」

ジャラールさんもハーキムさんも、荷物から何かを取り出す。

「クレハ。これを食べるといい。」

渡されたのは乾燥したパン、一つだった。

「あっ、いや私は……」

そう言った瞬間、私のお腹がキュルルルと鳴った。

二人とも笑いを堪えている。

「我慢すると体に毒だぞ。」

「ハハハ……」

イケメンの前でなんと言う失態!


しかしなんでだろう。

夢の中なのに、お腹が空くなんて。
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