替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「えっ!?どこへ引っ越したんですか?」

「リゴレットのお城の庭師として働くって言ってたよ。」

「リゴレットですか!?」







親友と会えなかったマリウスさんは、どこか寂しそうだったけど、でも、親友の行き先がわからないわけじゃない。



(フェルナンさんはわからないんだから…)



「サキ、すまないがゆっくりするのはもう少し先になりそうだ。」

「私は構いませんよ。
リゴレットというのは遠いのですか?」

「いや…ここからだとそう遠くはない。」

「そうなんですか。」



別に遠かろうが近かろうが、それほど大きな違いはない。
そんなことはどうだって良いことだ。



いつか…フェルナンさんのことを忘れられる日が来るだろうか?
そうじゃなきゃ、私は自分を持て余してしまう。
ひとりじゃ心細いから、マリウスさんと一緒にいるけど、この先もずっとこんな気持ちだったら、私も辛いしマリウスさんにも申し訳ない。



(私…どうすれば良いの?)



もやもやする心を抱え、私は途方に暮れた。
< 114 / 257 >

この作品をシェア

pagetop