替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「それでは…
二ルジェ様の死について教えてもらえませんか?
誰が、二ルジェ様に毒を飲ませたんですか?」

以前、答えてもらえなかった質問を、私はあえてもう一度訊ねた。



「ですから、それは…」

「教えて下さらないのなら、私…替え玉になるのはやめます!」

子供みたいなことを言ってるのはわかってたけど、私はそのことをどうしても知りたかったから。



「……困りましたね。」

サンドラさんは小さな溜め息を吐く。
私は、何も言わず、サンドラさんの答えを待っていた。



「証拠があるわけではないのですが…
おそらくは……マグダナ様の仕業かと…」

サンドラさんは声を潜め、そう言った。



(マグダナ様……?)



えっ!?それって、もしかして……



「王妃様……ですか?」

サンドラさんは目を伏せて、小さく頷いた。



王妃様と国王様の間には、子供がいないと聞いている。
ってことは、側室の二ルジェ様に子が生まれたことが悔しくて…それで殺害したっていうの!?
そんな……



「では…シャルアさんに毒を飲ませたのは?
それも王妃様だというのですか?」

「……おそらくは……
二ルジェ様とシャルア様のお体からみつかった毒は、同じものだと医師が申しておりました。」

「そんな……!」



どうして?
二ルジェ様は、王妃様にとって邪魔で憎らしい相手だったかもしれないけど、その娘まで憎むものだろうか?
私には到底理解出来る感情ではなかった。
< 139 / 257 >

この作品をシェア

pagetop