替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「それはどういうことなんだ!?
なぜ、サキが女王の部屋に?」

「フェルナン...以前、話したことがあったよな。サキの腕輪のこと...」

「あぁ、覚えてる。
だが、腕輪と今回の件にどんな関わりが?」

「それは俺にもまだわからない。
でも、もし、サキが高貴な生まれの者だったとしたら...王女と知り合いでも不思議はない。」

フェルナンは一瞬驚いたような顔をしたが、その後、小さく頷いた。



「確かにそうだな。」

「王女に聞いたら、サキの行方がわかるかもしれない。
もしかしたら、王女の静養について行ってるのかもしれないし。」

「そうだな。もしも、王女とサキが親しい関係なら、有り得るかもしれないな。
あ、じゃあ、親衛隊がサキを探していたのは?」

「サキは記憶を無くしたと言っていた。
たとえば、王女に何か頼まれてどこかに出かけた時に、なんらかの出来事があって記憶を失い、なかなか戻らないサキを心配した王女が探していたとか...」

「確かにそれなら辻褄は合うな...」



そう、それはただ辻褄が合うだけの単なる推測に過ぎない。
本当のことはまだ何もわからない。
これ以上のことは、調べる手立てさえ何も思いつかない。



「とにかく、今は王女の帰還を待つしかないだろう。」

「……そうだな。」

フェルナンが納得してくれたことで、俺は心の重しがほんの少し軽くなるのを感じていた。


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