替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする




「では、良いですね。
手筈通りに…」

「はい。」

私はシャルアさんの方を振り向いた。



「シャルアさん…行って参ります。」

「はい、シャキア…お気を付けて…」

「では、参りますよ。」



サンドラさんが私とレベッカさんの腕をつかんだと思ったら、次の瞬間、周りの景色は一変していた。



「さ、シャキア様、その寝台に横におなり下さい。」

「は、はい。」

「そろそろ、迎えの馬車が来るはずです。」



サンドラさんの言った通り、少しすると馬車が庭にやって来て止まった。
そして、担架のようなものを持った人達が部屋にやって来た。
サンドラさんは、その前に姿を消した。



「お願いします。」

レベッカさんがそう言って、私は担架に乗せられ、馬車まで運ばれた。



さぁ、いよいよだ。
この馬車がお城に着いたら、失敗は許されない。
私は、もうシャルア王女なんだから。



隠し部屋でサンドラさんに教わったことを、頭の中でシミュレーションする。
まず、お城に着いて、王様や王妃様に会ったら…
ごく普通に挨拶と帰還の報告、そして、体調が良くなったことをアピール…
陛下たちには初めてお会いするけど、緊張しないように気を付け、親しみを持って…



(うん、大丈夫。
私には出来る…!)



私は自分に暗示をかけた。


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