替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
これも、サンドラさんのアイディアだった。
とにかく、シャルアさんが元気になったことを疑われてはまずい。
そのためには、やはりなんらかの理由が必要だということで、考えられた言い訳だった。



「いえ…陛下にご相談もせず、勝手な真似をして本当に申し訳ないと思っています。
しかも、陛下のお嫌いな魔法使いに相談するなんて…」

「いや……私が意地を張っていただけなのだ。
王妃様がご病気に倒れ…その病は医師達も匙を投げる程だった。
そんな時…私は魔法使いに頼んだのだ。
どうか、王妃様を救ってくれと…
しかし、王妃様は助からなかった…
その後、王妃様を亡くしたことで先王様も気力をなくされ、どんどん弱って行かれてな…
ついに、起き上がることさえ出来なくなられた。
その時も、私は最後の手段として魔法使いを頼った。
だが…先王も助かることはなかった。
その時からだ…私が、魔法使いを毛嫌いするようになったのは…
頭の中ではわかっていたのだ。
お二人共、もう手遅れだった…
魔法使いが悪いわけではないのだと。
しかし、私は、お二人の死を誰かのせいにしないと、過酷な現実を受け入れられなかったのだろう。」

「陛下……」

初めてお会いした陛下は、『国王』というイメージとは違って、正直で優しい人のように思えた。
こんな方だから、国が滅びるとなってもシャルアさんを責めることなく…でも、きっと民のことを想い、胸を痛められていただろうと思う。



「これからは私に遠慮することはない。
サンドラに頼みたいことは、なんでも頼み、そなたはとにかく元気になることだけを考えるのだ。
良いな?」

「陛下…どうもありがとうございます。」


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