替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「その後…」

静かな部屋に、サンドラさんの低い声が響く。



「アレクセイ殿下の死後…爵位は、親戚の誰かに騙し取られたと聞いております。
お子様を抱えご苦労をなさった奥様は、数年後に再婚されたそうです。
そのお子様こそが、シャルア様に続くリゴレットの王位継承者です。」



小さな溜め息が漏れた。
とても気分の滅入る話だった。
だからこそ、シャルアさんも今まで知らなかったのかもしれない。
きっと、隠されていたのじゃないかと思う。



出来ることなら、その人にリゴレットを継いでもらって、またお城で暮らせるようになってほしいような気がする。
私達の従兄弟になる人だよね。
どんな人なんだろう?……会ってみたいな。



「その方は、お幸せにお暮しなのですか?」

「はい、おそらくは。
今は、シヴァルでお住まいのようですよ。」

「そうですか…」



王族って、本当にいろいろと面倒なことが多いんだな。
とりあえず、私がヴァリアンに行ったとしても、リゴレットの王位継承者がいるってことがわかって安心はしたけれど…



(でも、また王妃様が、その人を狙ったり…なんて、しないかな?)



って、その人は側室の子ってわけじゃないから、大丈夫かな?
なんて、そんな怖いことを自然に考えてしまう自分にちょっとびっくりした。
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