替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「馬鹿な!そんなこと、ありえない!」

「いいえ…真実です。
それに、わしは見たのです。」

次の言葉を聞かれた王妃様は、突如、涙を流された。
堰を切ったかのような激しい涙を…



「そんなことが……
信じられぬ…まさか、そんなことが…」

マグダナ様は、酷く動揺されていた。
体を震わせ、頭を振り…
止まらない涙を流され続けていた。



「マグダナ様、これからのことはわしにお任せ下さい。
すべて良き方向へ進むように取り計らいます。
いえ…おそらく、運命が進むべき方向へ進ませてくれると思います。」

「……ヒルダ、その前にもうひとつ、確かめてほしいことがある。」

「はい、なんなりとお言い付け下さい。」

マグダナ様は、わしにそのことを話された。
わしも知っている話だった。



「はい、わかりました。
ところで、シャルア王女にお会い出来ますか?」

「シャルアに…何用だ?」

「はい、それは……」

「わかった。」



マグダナ様は涙を拭い去ると、シャルア様を部屋に呼んで下さった。
< 231 / 257 >

この作品をシェア

pagetop