替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「そうですか…それは良かったです。」

「はい、裾がすごく長くて…とても豪華なドレスですよ。」

「そうなのですね。
とても美しいものなのでしょうね…」

シャルアさんは、そう言って微笑んだ。
笑うことさえ辛いのか、とても儚い笑みだった。



「ヴァリアンからの知らせはまだないのですか?」

「はい、どうなってるのか、とても気になります。」

「あなたは、どちらの王子がお好きなのですか?」

「私は……」



長い時間を共有したという点ではルーサーさんかな?
でも、マーカスさんも嫌いじゃない。



「どちらとも決めかねます。
お二人共、とても素敵な方ですから。」

「そうですか…
それなら、どちらに決まっても大丈夫ですね。
シャキア…どうか、幸せになって下さいね。
あなたにこんな大役を押し付けて、申し訳ないとは思うのですが…
でも、あなたの幸せを心から祈っています。」



そっと伸ばされたシャルアさんの手…それを私は優しく握った。
なんだか以前よりもさらに指が細くなってるような気がする。
私は、両手で包み込むようにその手を握った。
私に出来ることは、冷たいその手を少しでも温めることだけ…



自分の非力さに、涙がこぼれそうだった。
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