替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
って、暢気なことを考えつつも、心配事もある。
それは、シャルアさんのこと。
このところ、シャルアさんの体調が思わしくない。
医師にもすでに見放されてるからって、今は、サンドラさんの作る滋養強壮の煎じ薬を飲んでるだけだけど、本当にお医者さんに診てもらわなくて大丈夫なのか、すごく心配だ。
それでなくても、陽の当らない隠し部屋にずっといるんだし、体への影響が心配だし。
いや、精神面でもそういうのは良くないかもしれない。



だけど、シャルアさんをどこかに移すってことも難しい。
魔法で連れて行ってもらうにしても、誰にもみつからない場所なんて、そうそうないもの。



陛下に全部打ち明けたらどうかって言ってみたこともあるのだけど…
サンドラさんもシャルアさんも、そのことには大反対だった。
二人共、『女の子の双子は不幸を招く』っていう伝説を強く信じてるから。



私のいた世界では、そんなことを言う人も信じる人もいなかった。
むしろ可愛さ二倍ってことで、歓迎されてるくらいだ。
だから、私はそんな伝説は信じてない。
馬鹿馬鹿しいとも思ってる。
でも…頑なに信じてる人には、きっとすごく大切なことなんだろうね…
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