替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
「では、私は先に戻っているから。君はゆっくりシャルアさんと話して来ると良い。」

そう言って、フェルナンさんは先に帰って行った。
多分、気を遣ってくれたんだと思う。



「シャルアさん、大丈夫ですか?お疲れになりましたか?」

「いいえ。私なら大丈夫です。
あなたに会えて元気が出ました。」

全然元気には見えないけど。
話すことが、少しでもシャルアさんの楽しみになるのなら、出来る限りここへ来ようと思った。



「シャキア...あなたのおかげで、この国は護られました。
本当にどうもありがとう。」

「いえ...私は何も...」

「異界で幸せに暮らしていたあなたを急に呼び寄せ、難しいことを押し付けてしまい、本当にあなたには悪いことをしたと思っています。」

「やめてください。私は...今、幸せです。
確かに戸惑うこともありましたが、私は自分の意思で全てを受け入れましたし、そのおかげで今の幸せがあるのだと思っています。」

それは嘘偽りない、本当の気持ちだった。
悩んだり苦しんだことも、今では良い思い出だ。



「本当にありがとう、シャキア。」

「これからも、リゴレットのために尽くします。」

私はシャルアさんの手を握った。


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