替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
(フェルナンさん……)



さっきのことが頭から離れず、神経が高ぶって、横になっても私はどうしても眠ることが出来なかった。



フェルナンさんが、私のために闘ってくれた…
自分の身の危険を顧みることなく…



どうして…?
どうして、そこまで…?



私はマリウスさんが好きだったはずだけど…
さっきのことで、その気持ちが揺らいでいることに気が付いた。



だって、大袈裟に言えば、私はフェルナンさんに命を護られたんだもの。
しかも、フェルナンさんは怪我までして…



そんなことを考えると、罪悪感に苛まれた。
最初からずっと良くしてくれているフェルナンさんに、私はまだ嘘を吐いている。
記憶を失ったという嘘だ。



フェルナンさんのことは信頼してる。
だけど、まだ私は迷ってる。
本当のことを言うべきかどうかを…



話しても、信じてもらえないんじゃないかっていう想い…
話したら、どうなるんだろう?っていう不安…



だけど、すべてを話したいっていう気持ちもあって…



心が定まらない。
どうすることが一番良いことなのか、それがわからない。



木々の隙間からちらちらのぞく月明りを、私はただぼんやりとみつめてた。


< 87 / 257 >

この作品をシェア

pagetop