大天使に聖なる口づけを
「エミリアと仲良くなるきっかけをくれたのだって、もとはといえばアウレディオだったんだぞ」

遠いところを見つめるアルフレッドの横顔を、エミリアはざわめく胸を押さえながら、懸命に見上げた。

「エミリアの母さんがいなくなった時、あいつ、俺のところに来たんだ。自分はエミリアのために母親を捜しに行くから、その間エミリアを頼むって、守ってやってくれって。いつもうらやましく思ってた騎士役を、譲ってもらったみたいな気がして……嬉しかったな。意地悪ばっかりして、あの頃は俺、すっかりエミリアに嫌われてたからな」

「そんなことないよ……」
形ばかりの返答をしたが、アルフレッドの話の最後のほうは、もはやエミリアの耳には入っていなかった。

(私のため?)
アウレディオがあんなにボロボロになるまで母を捜し歩いた理由を、アルフレッドはそう言った。

(ディオはお母さんのことが大好きだからって、単純にそう思ってた……違うの? だってディオが好きなのは、今も昔もずっとお母さんで……)

今までずっとそう思いこんでいたことが、なんだかよくわからなくなってくる。

(じゃあディオがあんなに一生懸命、私を手伝ってくれるのはどうして?)

今まで一番近くにいて、一番わかってるつもりだったアウレディオの真意が、まったくわからない。
それは自分という人間の基盤が失くなって、今にも転びそうになっているような恐ろしく不安な気分だった。 

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