大天使に聖なる口づけを
「じゃあどうして今日、ランドルフ様に、私のお菓子を勧めたの?」

アウレディオは、休憩時間にわざわざランドルフを自分たちのところへ呼んできたようだった。
それがもしエミリアのお菓子を食べさせるためだったとしたら、どうしてだろう。

どうやら今度の質問は、アウレディオの予想の範疇内だったらしい。
すでに用意してあった答えを、瞳を煌かせながら意気揚々と即答する。

「お前の良いところと言ったら料理の腕しかないじゃないか。そこをランドルフ様に見せなくて、どうするんだ? 他にどうしようもないだろ?」
「よけいなお世話よ!」

あまりの言い草に目を剥いたエミリアを、アウレディオはおもしろそうに笑っている。
エミリアをからかって喜ぶ昔からの癖は、どうやら根本のところでは変わっていないらしい。

(結局は考え過ぎじゃない……それと言うのもフィオナが変なことを言い出すからよ。明日、ちゃんと訂正しなくちゃ!)

心の中で決意を固めるエミリアを、
「お前が知りたかったことって、そんなこと? ……あんなに青い顔してたくせに?」
アウレディオがすっかり笑顔が消えてしまったいつもどおりの無表情で、不審げに見下ろす。

エミリアはきょとんと瞬いた。
「そうだけど?」

途端にハアアアッと大きなため息を吐かれた。
見下すような視線を向けられて、エミリアは心なしムッとする。
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