滴る鼓動、振り向く夏の日、恋の予感。


クスクス笑う声。
夏が始まった暑い日。
滴る汗で波打つ心臓、赤く染まる頬、震える唇。
恐る恐る振り返ると、先輩はとろけんばかりに甘く笑っていた。
先輩の目が細く三日月みたいになるくしゃくしゃの笑顔は、きっといつか私の心臓を止めてしまう。
プールの故障なんて、口実だよって優しく囁く先輩は、意地悪だ。


「――やっとこっち見たな」



その言葉の意味は、次の瞬間、近づいてくる先輩の顔と触れる唇から気づく。

振り向く夏の日の、恋の予感。


Fin

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