幼なじみとナイショの恋。
「何で……いるの?」
「何となく。混んでる電車に乗るのダルくなった」
え?そんな理由??
確かにはるくん人混みが嫌いだけど、そんなのは毎日のことだし……。
「そんなぼーっと歩いてっと転ぶよ?結衣は意外にどんくさいんだから」
「こ、転んだりなんてしな……キャッ!!」
言ってるそばから、段差につまづく私。
そんな私の体は、軽々とはるくんの腕に抱きとめられてしまった。
「ほら。言わんこっちゃない」
「ご、ごめ……」
見上げると、すぐ近くにはるくんの顔があっ た。
途端に顔が熱を持つ。
「遅刻する。行くよ」
自然と繋がれた手のひら。
小さな頃から何度もつないだ手のひら。
だけど、私は今でもその体温にドキドキが止まらない。
そっか……。
はるくんはきっと、私を待ってくれていたんだね。
お母さんに呼び止められた私を心配して……。
はるくんの広い背中を追いかけながら、ぎゅっと唇を結んで、今にもこぼれ出てしまいそうな言葉を押し込める。
好き。
はるくんが好き。
優しいはるくんが大好き。
自分の意思をしっかりと持った、強くて真っ直ぐなはるくんの瞳が大好き。
すごくすごく大好き。