幼なじみとナイショの恋。

はるくんと私は、小学校はもちろん、中学校も一緒だった。


だからというのもあって、お母さんの目を盗んではるくんと仲良くするのは、意外に簡単だった。


さすがにマンションに近いあの公園で遊ぶなんてことはできなくなってしまったけれど、学校では毎日顔を合わせることができたし、行きや帰りもこっそり待ち合わせをしたりした。


今日みたいにお母さんにバレてしまうんじゃないかって、ヒヤッとすることは何度かあったけど、


私達の秘密の関係は、お母さん達に知れることなく10年間、何とかこうして続いている。


そして……。



「はるくんてさ、何でうちの高校にしたの?」



この春、はるくんと私は同じ高校に入学した。



「何急に」


「うん。前から気になってたんだ。はるくんバスケの強い高校からたくさんスカウトきてたでしょ?それなのに、何であえてうちの高校を選んだのかなって……」



今日もいつもと変わらず混み合っている電車の中、視線の先にあるのは、去年はるくんがスカウトされたバスケの強豪校の制服を着た生徒。


その高校の制服は、ブレザー型のうちの制服とは違い、紺色のピシッとした詰襟だ。


はるくんの選択次第では、今ここにいるはるくんがあの制服を着ていたかもしれないんだと思うと、なんだかちょっと不思議な感じがする。
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