みんとキャンディ
母親は紅茶以上に、ウェイターがお気に入りだった……。



年甲斐もなく、若い男の子とのティータイムに乗じる母親。



しかも、今日のウェイターは自分の娘と年の違わぬ男子高校生……。



考えただけで、聖梨の頭は頭痛に見回れた。



「……バタフライ、高校生も雇ってるんだね」



それ以上考えたくなくて、



聖梨は名刺を家政婦さんに返して、二階にある自室へ行こうと階段に足を向けた。



その時だった……。


「聖梨ちゃーん」



甘ったるい母親の呼び声に、聖梨の背筋には冷や汗が流れた。



イヤな予感ってヤツを全身で感じている……。



「お返ししてなかったティーカップ持って来てちょうだい」



聖梨の足は階段の一段目を前にして止まる。



カフェ バタフライのウェイターはみんな愛想が良く、饒舌だった。



聖梨はそんな彼らとの時間に巻き込まれるのが、苦手だった……。




女子にはモテるが、男子との関わりには全くもって経験値ゼロ。



彼らの甘い笑顔と、くすぐったいようなトークは、聖梨の心臓に悪い……。



しかし……、



聖梨はイケメンを見るのは好きだったりする……。
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