みんとキャンディ
「ただいまぁ……」



結局、何の収穫もないまま帰宅してしまった……。



「おかえりなさいませ。聖梨お嬢様」



しょんぼりと俯いている聖梨に、高月家の家政婦が声をかけた。



「……あれ? お客様?」



学校指定の女子用のふくらはぎまであるブーツを脱ごうとしたとき、



玄関の隅に見慣れた男子用のショートブーツが揃えられているのが目に入った。




「えぇ……。カフェ バタフライからの出前の方です」



聖梨の質問に、家政婦は小さなため息を漏らしながら答える。



高月家の近所にある喫茶店、カフェ バタフライ。
ご近所ならば出前もしてくれる。



聖梨の母親はここの紅茶がお気に入りだった。



しかし、



理由はそこだけにあらず……。



「今日はこちらの方です」



家政婦が差し出した名刺に、聖梨のため息は深かった……。



【カフェ バタフライ ウェイター
高原 皇楽(こうが)】




おそらく例の靴の持ち主。



カフェ バタフライの名物は紅茶だけじゃない。




紅茶を運んでくれるウェイターが、




……みんなイケメン。




通称、



ホストカフェ。
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