君と特別な日を過ごす方法 ~長谷川誠の苦悩~
「起こしてくれてよかったのに……」
呟くように言った俺の言葉に、莉乃は心配そうな瞳を向けた。
「おはよう。少しは眠れた?」
そう言うと、立ち上がり、俺の前に来た莉乃を俺は無意識に抱きしめた。

「おはよう。ありがとうよく眠った。ごめん、今日もこんな時間だな。今からでもどこか行こうか?」
最近デートらしいデートはもちろん、7月に決まっている結婚式の準備もそろそろしないといけないのに……。

「気にしないで。休みだって何週間ぶり?日曜日も休日出勤してたでしょ?今日ぐらいゆっくりして」
そんな莉乃の優しさに、俺は安堵して莉乃をもう一度抱きしめた。

「ごめんな。もう少しで終わるから」
そっと耳元で囁いた俺の言葉に、莉乃は小さく頷くとギュッと俺の背中を抱きしめた。


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