君と特別な日を過ごす方法 ~長谷川誠の苦悩~
「じゃあ、お願いがあるの」
「なに?」
めったにお願いなんて言わない莉乃の言葉に、俺は驚いて莉乃の顔を覗き込んだ。

「ちょっと誠不足。少しの時間でいいから抱きしめいてくれる?」
少し照れたような表情を浮かべながら言った莉乃の可愛らしい言葉に、俺は呆然とした。
付き合って何年も経つし、数えきれないぐらい触れ合って、体を重ねてきても、莉乃はこうして俺にいつまでも愛しい、可愛い、そう言った感情を湧き立たせる。

「少しの時間なんて言うなよ。俺は少しの時間なんかじゃ足りないよ」
「え?」
俺に言葉の意味が分からないといった表情の莉乃に、チュッとキスを落とすと、そのまま抱き上げて俺はまたベッドへと戻ろうとした。

「あーー!!誠!まだダメ!」
「はあ?なんだよ……」
せっかくの俺の盛り上がった気持ちを一旦引き戻す様な莉乃の言葉に、俺は少し不機嫌にな声をだした。

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