イジワル専務の極上な愛し方

祐一さんとの次の打ち合わせが決まることもないまま、あれから一週間が過ぎた。

祐一さんからの連絡は会社にも私のスマホにもなく、翔太さんからもコンタクトを取っていないみたい。

その間、私と翔太さんは通常どおり業務をこなして、プライベートでは変わらず彼との甘い時間を過ごしている。

といっても、社長に会えていないことが常に引っかかっていて、どこか落ち着かない気持ち。

翔太さんが何度か連絡をしてくれているけれど、社長も多忙でこちらとなかなか都合が合わない。

だけどようやく、社長に時間ができて、私たちは金曜日の夜に会う約束ができた。

祐一さんとのあの打ち合わせから、約二週間が過ぎていた。


「とても、緊張しますね……」

社長が場所を決め、会社から車で十分ほどのホテルのレストランを指定されている。

業務が終わってから、私たちは翔太さんの車で向かった。

「そうだな。ただ、俺は彩奈との付き合いを、絶対に認めてもらうつもりだから」

ハンドルを握る彼が、強い口調でそう言う。もちろん今夜は、社長に私たちの交際をきちんと話すつもりでいる。

祐一さんの発言だけで、曖昧なままになっていたから。

汗ばみそうなくらいに緊張するけれど、貴重な時間を割いてもらうのだから、きちんと話しをしよう。

翔太さんの力強い言葉に、私は少し勇気をもらった。
< 71 / 107 >

この作品をシェア

pagetop