イジワル専務の極上な愛し方
キッパリ言うと、祐一さんは鬼のような形相になり、私の腕を掴む力を強くする。

それがあまりに痛くて、顔をしかめた。

「生意気なことばかりベラベラと。それなら、なにがなんでもお前を取り戻してやる」

至近距離まで顔が近づき、必死に顔をそむける。

「や、やめて……」

これ以上、近づかないで。祐一さんにキスをされてしまったら、翔太さんになんて言えばいいの……?

涙が溢れていき、恐怖心でいっぱいになる。目を閉じ、掴まれている手をふりほどこうとしたとき、急に祐一さんの体が離れた。

な、なに? いったい、なにが起こったの?

「いい加減にしろ」

まさかと思う声が聞こえ、目を開けた瞬間、翔太さんが見えた。

肩で大きく息をし、険しい顔で祐一さんを見ている。

その祐一さんは、よろけ気味になっていて、翔太さんが彼を力ずくで私から引き離してくれたのだと分かった。

「しょ、翔太さん……。どうして?」

接待に行っているはずの翔太さんが、どうしてここへいるの?

驚きで呆然とする私には見向きもせず、祐一さんに鋭い視線を送っていた。

「浅沼社長、これ以上、彩奈に近づかないでほしい。あなたを業界から追い出すことは、俺には簡単なことだ。そうしても、いいか?」
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