イジワル専務の極上な愛し方
翔太さんの強い口調と厳しい表情を前に、祐一さんは抵抗すら見せなかった。

そして私を見て、頭を下げた。

「彩奈、悪かった……」

心底、謝っているわけじゃないことは分かる。翔太さんの迫力を前に、折れただけだと理解できるほどに、祐一さんの言い方は棒読みだったから。

だけど私は、早くこの場を去りたかったから、小さく頷いた。

「もう、いいです。翔太さんが、助けてくれましたから。その代わり、二度と私に声をかけないでください」

祐一さんとの思い出は、心の奥へしまっておく。私が好きになった彼は、もうどこにもいないと、今回の再会でよく分かった。

「……ああ。約束する」

静かに言った祐一さんは、そのまま小走りで通りへ戻っていった。

やっとホッとした私は、翔太さんに顔を向けた。彼も安心したように、表情が和らいでいる。

どれだけ、心配をかけたんだろう。

「翔太さん、助けていただいて、本当にありがとうございます。接待は、大丈夫なんですか? 早く行かないと……」
< 98 / 107 >

この作品をシェア

pagetop