生真面目先生のちょっと大人の恋の話

私はぼんやりと眺める。

「おはようございます、一ノ瀬先生。」

そこにやって来たのは、福田先生だった。

「こんなに早くどうしたんですか？」

私は福田先生を見た。

「最近の事なんですが、なるべく朝練の生徒のために早目に来て保健室を開けているんです。まあ、やらなければいけない仕事もありますしね。」

私は意外そうにうなずく。

「横田には内緒ですよ。言ってしまうとあいつも早く来るようになってしまうから。」

私は首をかしげる。

「これ以上あいつに負担を掛けたら可哀そうですからね。これは俺が奉仕としてやっている事です。」

そして福田先生は私を見て、ニッコリ笑う。

「吉永先生が朝に怪我人が出た時のために、保健室の鍵を貸してほしいと言ったんです。それを聞いて俺が出られる時は出ましょうという事になったんです。吉永先生はすべてに行き届いていますね。生徒の事をちゃんと考えていて感心します。」