生真面目先生のちょっと大人の恋の話
でも今日は居ない。

あともう少しだ。

何となくゴール地点の気配を感じ始めた頃、私はふくらはぎに異変を感じた。

「あれ?」

少し筋肉痛をひどくしたような痛み。

足が上手く動いてくれないような気がする。

「大丈夫ですか?」

私は後ろから声を掛けられたが、止まってしまうのが怖くて振り向く事も出来ない。

その声の主はそっと私に並んだ。

「もう少しでゴールです。もしふらつくようなら俺の腕を掴んで下さい。」

その人は私のペースに合わせて、歩いてくれているようだ。

後ろから見て、私が足を引きずっているように見えたんだろう。

「ゴールまで何とか行けると思います。どうぞ先に行って下さい。」

私は顔を前に向けたまま、ゴールの位置を確認しながら言った。

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