生真面目先生のちょっと大人の恋の話
吉永先生はぼそりと言う。

「タクシーに乗せたまでは良かったんですけど、吉永先生ったらすぐに寝てしまって、タクシーの運転手さんと何とか家に運んだんですから。」

私はその大変さを思い出して、頬を膨らませて言った。

「俺は朝弥を送る事が出来なかったのに、朝弥にここへ連れて来られるなんてびっくりだな。」

「さっ、今日は土曜日でお休みですし、ちゃんと朝食ぐらい食べましょう。」

私はリビングのテーブルに作ったものを運ぶように吉永先生を促す。

ご飯に納豆、鮭を焼いて、ほうれん草のお浸し、そして大根のお味噌汁。

「何だよ、まるで日本の模範的な朝食じゃないか。健康にも気を付けているんだな。」

少し嬉しそうに吉永先生はテーブルを見る。

「ウォーキングを始めたら、食事にもこだわりが出て来てしまって。でも今日はさすがに特別ですよ。今日は休みだったし、二人分を準備する事になったから少し時間を掛けました。」

そしてちらりと吉永先生を見る。

「もしかしたら吉永先生には物足りないかもしれないですけど。」

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