憧れのアナタと大嫌いなアイツ
一目惚れの【藤堂鷹也】さんの名刺はキラキラシールを盛られて部屋にあるのコルクボードの中央に貼り付けた

友達との写真や好きなもので埋め尽くされたコルクボードの中で一枚だけ異質に思える程の白い名刺は部屋に入るたびに確認しては微笑んで・・・いつしか心の安定剤になっていた


それからというもの

ウェンディで打ち合わせがある日はもちろんのこと飲み会や営業に至るまでパパに張り付いて藤堂さんに近づいた

その努力が実ってか?「花乃ちゃん」と下の名前で呼ばれるまでになり距離も縮まった


そして・・・
金魚のフンのようにパパについて現れる私はウェンディの社長にも覚えて貰うことになり念願の内定までもゲットした









「しかし・・・我が娘ながらよく頑張った?粘った?ま、とにかくめでたいからカンパーイ」


就職祝いと称した家族パーティが開かれた夜にグラスを高々と上げて声を張ったパパ


「「「カンパーイ」」」


テーブルを埋め尽くすママの料理とお祝いのシャンパンを飲みながら既に社会人になったかのように饒舌に話す私に


「いいか花乃!あくまでも仕事なんだからな」


肩にトンと手を置いて片手にシャンパングラスを持ったまま絡む花流

「花流?もう酔ったの?」

「あ?これくらいで酔う訳ねぇ」

トロンとした目で見つめられると母性本能がくすぐられる

「はいはい、花流よしよし」

いつも自分がされるように弟の頭をポンポンと撫でると

「・・・んだよ、馬鹿にして」

花流は少し拗ねた顔をした

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